◇　還暦ダイバー　海の体験ー１　海に潜るには　◇

◆ダイビング（海に潜る）装備について

　・SCUBA-Diving　（Self-Contained Underwater Breathing Apparatus）　⇒　自給式水中呼吸装置について

　・空気を充填したタンクを身に付けて、呼吸をしながら水中を自由に動き廻るレジャー。

【重装備品】

• �@　ＢＣＤ（Buoyancy-Control-Device 　浮力調整装置。 ジャケット構造になっており、背面に「タンク」を固定する。　全体が二重構造の浮袋になっていて、浮力の調整が出来る構造になっている。水中では圧力が掛かるので、タンクとホースで繋ぎ、圧力で膨らませる。


• �A　タンク　：容積＝１０?（日本）、　初期には２００気圧の空気が充填（空気容量＝２０００?）されている。日本人男性の地上（１気圧）での空気の平均消費量は約２０?と言われており、約１００分間呼吸が出来る空気量となる。 水深１０ｍでは圧力が２気圧の状態になるので、２０?の消費は１気圧下の４０?の消費となる為、約５０分、２０ｍでは３気圧で３３分間の呼吸が出来る空気量が充填されている事になる。 因みに、アマチアは４０ｍ以上を潜ってはいけない規定になっている。女性の消費量の平均は男性より２０〜３０％少ないと言われている。潜る度に「タンク一本分の空気を消費」するので、潜った回数は「本」でカウントする。 タンクは重いので、通常は潜る海近くで調達する。（潜る海：参照）


• 《余談》　海に潜る男達は常に「仲間の女性に優しく」接することを心掛けている。アクシデント等により、予定より海中に長く留まらざるを得ない事態が生じた場合、 呼吸のための空気の残量が心配になる。先に空気が無くなるのは、「消費量の多い男性」である。 そんな恐れが生じた時はチーム全員が集まり、皆の空気残量を確認して、一番多く残っている人（通常は女性）が一番少ない人（男性）に自分のタンクから空気を吸わせる事になる。 「あんたなんか、イヤヨ」と肘鉄を喰らうと、命にかかわる事になりますので、常日頃から女性には優しく接する心掛けが必要でとなります。
• 小生も優しい女性のお世話になり、腕組み、ランデブーでの浮上体験があります。
  この時は、浮上するのが、精一杯で、カメラを海底に落としてしまいました（失敗談）。


• �B　ファーストステージ　：タンクトップに取り付ける機器。高圧で充填されているタンクの空気を使い易くする為に、内部に「精密な圧力調整装置」が組み込まれていて、タンクの高圧空気は全てこの機器を通じて、各ホースで供給される


• �C　レギュレーター（呼吸器）　：「ファーストステージ」によって高圧のタンクから、水深に応じて呼吸に最適な圧力で空気が供給されるので、地上と全く同じ様に呼吸が出来る。


• �D　計器　：タンクの残圧計（空気の残量計）と水深計が基本で、人によってはコンパスや他の計器を付ける。


• �E　オクトバス　：レギュレーターと同じ機能。水中ではお互いが助け合える様に、他人に吸わせる呼吸器を装備している。他人に利用させる為、目立つ様に多くはホースが黄色になっていて、他のホースより、やや長めに出来ている。


• �F　ＢＣＤの浮力調整用の空気を供給するホース。


• �G　ドライスーツを着用した時の空気供給用ホースも装備されている。

水深３０ｍの海（ロタ）		初めての海外の海（サイパン）		ＢＣＤ：タンクと装備品

【軽装備品】

• �@　マスク　：目と鼻を水圧から護るために着ける。目と鼻を覆うゴーグル形となるので、鼻での呼吸は一切出来なくなり、口のみの呼吸となる。眼鏡が必要な人は、自分の眼鏡と同じレンズを入れる。私はこれを付け、水中で物が見えた時は感動した。


• �A　体の保護　：先ずは保温の為、また海中にはイソギンチャクを始め「毒を持った植物」やクラゲを始め「毒を持った生き物」が沢山いるので、必ず「ウェットスーツ」か「ドライスーツ」を身に付けて、身を護る。他に、必ず手袋をする。
• 　ウェットスーツ　：軽装の潜水服。上質のスポンジゴム製が多く、首、手首、足首等から水が自由に出入りするのでこの名で呼ばれる。
• 海の水温は概ね陸上より２ヶ月遅れで変化する、日本近海の海は１１月〜５月は冷たい水温の海となる。
• 　ドライスーツ　完全に水密式のスーツ。気温：水温が下がるとウェットスーツでは体温を奪われるので、海に潜れなくなる。ドライはスーツとブーツが一体となっていて、 首から上と手首から先以外は完全に水密構造になっている潜水服。身長、首回り、手首等を計測して、オーダーメードになるので、やや高価である。冬場は、セーターを着たり、お腹にホッカイロを装着して潜る事も可能になる。 水圧で体が締め付けられる為、内部にタンクから空気を供給出来る構造になっている。


• �B　ウェイト（重り）　これだけの装備を装着すると、浮力が大きくて海に入っても沈まない。ウェットスーツの場合で個人差はあるが、３〜５Kgの重りを腰に付ける。 重いので、ベルトのみ個人持ち。ダイビングスポットには国際共通サイズの鉛の重りが準備されている。ベルトはバックル式になっており、ワンタッチで外れる。 非常事態が起こった時はウェイトを外せば、本人の意思とは関わりなく、強制的に水面へ浮いて行く。緊急時の安全弁の役割も果している。
• ドライスーツを着た場合は更に５〜８Kg増える。腰に着けるには無理があるので、インナーに約５〜７Kgのチョッキを装着し、逆立ち姿勢になるのを防ぐ為、 通常は足に左右０．５Kg、両足で１Kｇを装着する。ドライを着用した時は、タンクを含めた装備の総重量が３０Kgを越す。海中は無重力で気楽だが、地上を移動する時は重みをズッシリと感ずる。

		冷たい海に潜るドライスーツ姿 　　　ウェイトが５〜８Kg増える、姿勢保持の為に足首にもウェイト




• �C　泳ぐ為の補助としてフィン、水面移動時の呼吸用にシュノーケル、夜間や洞窟に入った時の為に水中ライト。

• �D　カレントフック：流れの速い海等で、必要に応じて、岩等に架けて体を固定する器具。

• �E　シグナルフロート：緊急浮上時やボートダイビングなどの場合、見つけ易い様に海面に上げる。

• �F　ダイブコンピューター：減圧症のリスクを減らす為に身に着ける。（海に潜るリスクの項参照）

• �G　水中カメラ＆写真用ライト。（水中写真の項参照）

• �H　LOGブック。海の記録。地名、潜水年月日、潜水時間、出遭った生き物、ガイド（インストラクター）の署名、共に潜った仲間のコメント等々を記録として残す。
  
  

  		ＬＯＧブックとダイブコンピューター

  
  

◆海に潜る資格

◇ライセンス：認定（Certification）カードの取得




• Divingの世界的（世界共通）の指導：認定団体としてＰＡＤＩ，ＮＡＵＩ，ＢＳＡＩＣ等がある。


• 認定団体が公認している講習を受けて認定カードを取得する。持っているC-Cardのレベルによって潜れる海が決まる。


• Open　Water　Card（初心者）　�@水深１８ｍまで　�A夜間に潜る事は禁止　�B洞窟や沈船など「閉鎖海域」には入ってはいけない。


• 他にスキルを上げる為の講習として、�@ボートで沖合に出て潜る　�A潮の流れがある海に潜る　�B高所（気圧の低い地）で潜る　�C水中での滞在時間を長くする為に通常の空気より、酸素濃度が高い空気を充填したタンクを使用する場合などの注意事項を学ぶ講習会等があり、目的に応じて対応力を身に付ける。（リスクの項参照）



初心者カード（水深１８ｍまで）		中級者カード		アマチア最高位カード




素潜りの講習も受けた		水中会話に手話も習ってみた		MSDの認定肩章

◆海に潜るリスク

【リスク　１：　減圧症】について

• 人間が通常の圧力（１気圧）以上の圧力を受けている状態で呼吸をすると、空気中の窒素が体内（細胞）に蓄積されていく。蓄積していく量は圧力と時間に比例して、増えていく。
窒素が通常より大量に体内に蓄積されている状態から、体が受けている圧力を急激に下げてしまうと、体内の窒素が行き場を失って細胞の中で気泡の様になり体の一部が麻痺をしたり、様々な症状を起こす。この症状を減圧症（潜水病）と言う。


• 対策１　：１８ｍ以上は潜らない様にする。長年の研究により、２．８気圧以内で短時間ならば減圧症の発症リスクは低い。


• 対策２　：安全停止　水面に上がる前に水深４〜５ｍの位置（１．４〜１．５気圧の状態）で３分以上停止をする。この間に窒素を体外に放出。


• 文明の利器　：ダイブコンピューターを身につける。潜り始めてからの時間、現在の水深、減圧症のリスクを下げるためには今の深さに残り何分居られるか？　等々が刻々表示をされている。危険表示が出ないＤｉｖｉｎｇを心掛ける。通常は腕時計方式になっている。


• Diving後は標高が高い地には行かない。例えば西伊豆の海を潜った場合は、伊豆半島の高い位置を横切らず、高度の一番低い「御殿場」を経由して帰京する。


• 海から上がった後、「２４時間以内は飛行機に乗らない」。海外に行った場合は特に注意が必要。



【リスク　２　：　水中では呼吸を止めない】>

• 水深によって、肺の中の空気の体積が変化するので、常に気道はＯｐｅｎにしておく。特に、緊急事態が起きて、水面に浮上する場合は注意が必要で、気道を開き、「アーアー」と声を発しながら浮上する。

◆潜る海　

• 安全な海：　地形、水深、潮の流れ等々が充分に確認されている海を潜る。


• プロと同行する。講習を受けて資格を持ったインストラクターやその海域を良く知っている地元ガイドと同行する。


• バディシステム。相棒を決めて、常に行動を共にして、助け合う。


• 日本の場合は殆ど全ての海に「漁業権」が設定されているので、漁船との事故やトラブルを避ける為に、その海に漁業権を持っている漁協が「指定した海域」を潜る。
• 因みに、ダイバーは日本中、どの海に潜っても「法律には触れない」と、最高裁判所から判断が示されている。
• 通常は、空気を充填したタンクは「潜る海」の近くで調達する。私の知った範囲では、漁協の関連団体が高圧の充填設備を設けて、空気を充填し、ダイバーにタンクの貸し出をしている。概ね、１タンクの借用料が１、２００〜１、４００円なので、これでお互いの利害が保たれている。

◆水中写真について

【水中カメラ】

• 私は写真については旅行の想い出や子供のスナップを撮る程度で、深い関心は持っておりませんでした。


• Ｄｉｖｉｎｇを始めて、海中の生き物と出遭う様になって、これは「記録を残したい」と強く感じました。


• 水中で写真を撮るには、カメラを防水プロテクターに入れる必要があります。大半のデジカメはアクセサリーのメニューに揃えられています。


• カメラ本体が防水になっているデジカメも販売されている。


• 私はサラリーマンの頃から、Canonのデジカメを持っておりましたので、早速、専用の「防水プロテクター」を購入し、海の写真を撮り始めました。

カメラと専用防水プロテクター		写真用ライトと防水カメラ（-４０ｍ）

【水中写真の色について】

• 水中では、深くなるに従い光りが届かなくなる。可視光七色（赤橙黄�告�青紫）が平等に届かないのではなく、波長の長い色（赤）から消えていく。従って、水深により全ての物が実際の色とは変わって見える。


• 色を出す為にはライト（白色光）を当てる必要がある。個人が携行できるライトには大きさに限界があり、水中で色を出すのが、非常に難しい。


• 最近のデジカメには「ホワイトバランス調整」機能が付いている製品が多いので、調整をすれば、充分とは言えないがかなり改善される。

太陽光の下の色		水深１０ｍ：こんな色に見える		白色光を当てる

水深１１ｍ：赤が写らない		水深１２ｍ：ライトを当てれば赤が出る		水深24mホワイトバランスが効力発揮

◇　地球の海：フォトコンテスト　◇

• 毎年４月上旬に、池袋サンシャインシティ文化会館を会場に「マリンダイビングフェア」が開催され、これに合せて、「地球の海フォトコンテスト」が開かれております。
• 私も２００６〜２００９年のフォトコンテストに応募を致しまして、５作品が入選し、サンシャインシティに展示をして頂きました。入選作品の３点をご紹介致します。他の２点は別の機会に紹介させて頂きます。

２００６年　シンデレラの舞踏会		２００７年　ジンベーちゃんアーン		２００９年汽水域の小魚を蛍に見立てて
		ハイ！　虫歯はありません		淡水？海水？どっちの水があーまいか

私のDiving記録

• �@　初Diving : ２００３年９月１４日　東伊豆：赤沢　Open-Water-Card取得の海洋実習


• �A　１００本目　２００４年９月２８日　西伊豆：大瀬崎（湾内）


• �B　２００本目　２００５年８月１０日　東伊豆：伊東（白根南）　伊東の花火大会の日


• �C　３００本目　２００６年４月１４日　マレーシア：ボルネオ島（マブール）


• �D　４００本目　２００７年５月２２日　北マリアナ連邦：ロタ島


• �E　５００本目　２００８年１０月４日　東伊豆：海洋公園



２００本目・仲間の寄せ書き		350本ニックネーム入りのお祝い		５００本・お祝いに集まってくれた仲間




【日本国内の潜水地】

　東伊豆＝１２２本、西南伊豆＝７７本、伊豆七島＝２１本、沖縄：奄美＝２１本、房総半島＝１６本、佐渡＝１２本、小笠原＝１０本、三浦半島＝５本、淡水（本栖湖）＝２本




【海外の潜水地】

　北マリアナ連邦＝８８本（サイパン＝７６本、ロタ＝１２本）、　グアム＝１９本、　パラオ＝３０本、　フィリピン（セブ）＝１８本、　マレーシア（マブール）＝５８本、

インドネシア（バリ島）＝８本、　タイ（アンダマン）＝１３本、　モルディブ＝１７本、オーストラリア（グレートバリアリーフ）＝１２本、　

メキシコ＝２５本（ラパス＝９本、コスメル＝１４本、セノーテ＝２本）

		ユカタン半島の地底湖（セノーテ）を潜る
太平洋西部：インド洋の潜水地		カリフォルニア湾：カリブ海：地底湖




還暦ダイバー　海の体験−２
サイパン・ロタの海と出遭った生き物達へ続く
　
サイパン・ロタの海を見る